凱旋帰国のエイリアンをおそった嵐

■凱旋帰国のエイリアンをおそった嵐。五ヵ月の欧州旅行の間に、小手川邸の建築はずいぶん進んでいた。外観は完全に出来上がっているという。私は、試験も終わったことだし、完成間際の小手川邸に、内装工事のお手伝いをかねて、写真を撮りに行くことにした。久しぶりの臼杵訪問。カメラマンは、当時、ロバート・キャパを目指していた友人沖輝夫君である。小高い丘の上に建つ小手川邸は、私のイメージ通りに仕上がっていた。モダンな水平ラインのデザインを持ちながら、それでいて臼杵の景観になじむウッディな仕上がり。渡欧前、心に描いていたドィッモダンと和の融合が、いま、現実のものとしてそこに存在していた。内心、小手川邸は、実際に見てきたョ-ロッパのデザインと比べても、勝るとも劣らない出来だと自負できたのである。その日、私たちは出来たばかりの小手川邸に泊まることになっていた。時節柄、九州地方には大型の台風が近づいていて、その日は雲行きも怪しかったので、撮影は翌日に延ばすことにした。台風一過といえば、ピーカンの晴天になると相場が決まっている。大きく張り出した屋根は、きっと青空に映えるだろう。夕食をいただきながら、話は大いに盛り上がった。ところが、である。外の風は、思いのほか激しさを増していった。小手川氏は、「このあたりの台風は、相当のものだからね」と言う。しかしこの家は、構造に万全を計った家である。