若き日の経験
木曜日, 1 12月 2011
私が、机の上でデザイン画を描くだけでなく、現場の大工さんに交じっていけるようになったのも、若き日のこの経験からである。今は亡き板井さんの技を、佐々木棟梁が継いでいる。私は建築家として、このように脈々と続く匠の技が、いつまでも絶えることがないよう祈っている。さて、あの日の竜巻以上の風にも耐えられるよう、屋根は、袋状になっていた庇の一部に風抜きの穴を設け(幸いにも、もとのデザインフォルムを崩さない程度ですんだ)、新しい柱を立て直し、屋根の中に梁の左右からチャンネルと呼ばれる鉄骨を抱かせて補強したものに、より頑丈に固定した。基礎から、屋根の一番飛び出したところに向かって鉄筋のブレースで引っ張る頬杖もつけた。これは構造補強と言うより、奥さんを心理的に安心させるためのものだった。比較的、容易に再建ができたのは、木造の在来工法(この言い方は、ツーバイフォーや鉄骨造りのプレハブエ法に対する過去の工法として、一段低く見るように使われているのが気に入らないのだが)で建てられた家だったからだと実感した。木と木を「柏」と「仕口」によって、しっかりと組み合わせる在来の木造軸組工法は、乳みはするが、基本的には壊れにくい。あのドーバーの船がそうだ。今回のように、柱が裂けるなどということがあっても、その柱と梁を取り替えて組み直せば、他の部分はほぼそのまま使うことができるのである。これは、他の工法ではできにくい大きなメリットといえよう。